2015年8月21日金曜日

カフェほど素敵な商売はない(11)

前回「高菜のせ角煮ごはん」のレシピを書きましたが、青高菜がなかなか手に入らないというご意見がありましたのでお教えたします。当店では、西荻窪北口にある八百泰さんにて予約して購入しています。夏場は店頭に置いてないお店でも、あらかじめお願いすると市場で仕入れてきてくれるところがありますので、ご近所の八百屋さんで頼んでみてください。
 さて、ようやっとオープンの頃のお話です。5階まで階段でフローリング材を運び入れたこと。漆喰を塗るよりも、きれいにヤスリでこする下処理。家主さんの荷物を保管するために真冬の深夜に屋上で物置を組み立てて荷物を納めたこと。その時風邪をひいていたこと。テラスへ出る手作りドアの鍵を親方が逆につけて閉められなかったこと。全てがたいへんな作業でしたが、今思い返すと全てとても良い経験となりました。
 開店前日に、ぎりぎりで保健所の認可を取れた時には皆で放心してしまいましたが、まだまだ内装が終わらず気合を入れ直しての作業。結局最後のフローリング塗装はあきらめましたが、その後の経年ですごく良い味わいの色になっていくのでした。ちゃぶ台には接ぎ木をしてテーブルに仕立て直し。時間がないための苦肉の索が、後日雑誌のインテリア特集に何度も取り上げられることになるとは、その時は夢にも思わなかった。オープン当日の夜は知り合いを招いてのオープニングパーティーをしました。狭い店内はごった返し、入店できなかった方も。
 ドリンクやお食事のサービスも全て初めてのことなので、何が何だかわからないまま嵐のようにパーティーは深夜まで盛り上がります。みなさん楽しんでいただけたようで、とりあえずホッとして1日目の夜は無事に完了。
 さて、翌日いよいよカフェ開店本番です。とはいえ、屋上にある空中店舗に通りすがりのお客さんがやってくるはずもなく、知り合いがポツポツと来てくれるだけで、カフェは閑散としていました。でも思い通りの自分の店ができた満足感からか、不思議とくよくよすることもなく、のんびりと毎日は過ぎていきます。そんな時期に来てくださったお客様の一人が東京カフェマニア主催の川口葉子さんです。カフェや喫茶店についての著作も多数出版されているカフェ好きでは知らない人がいないという有名なライターさん。あいにくこちらはそんな方とは知りもせず、頻繁に来てくれる、もの好きなお客様(失礼!)としか認識していませんでしたが、ある雑誌で彼女がクワランカを紹介してくれたことから、お客さまがだんだんと増えてきたのです。
 その時の記事を川口さんの了解を得て転載させていただきましたので、ぜひともお読みください。こんなふうに書いていただいて本当にクワランカは幸せな店ですね。そして、西荻窪、吉祥寺と移転するたびに訪れてくださりありがとうございます。しかし、あの頃は本当に暇な店だったんだな〜 笑

MUTTS 2001年発売号(マガジンハウス)掲載


2015年8月17日月曜日

今月のお薦めワークショップのお知らせ

お待たせしました!
ピルタナウハ織ワークショップのお知らせです。素敵なヘイディ先生がフィンランドの伝統手芸を教えてくれます。

ムードアップ@ クワランカ・カフェ、 吉祥寺!(1)
今回はとっても明るくてキラキラなクラスになります。サミスタイルのブレスレット&ピルタナウハ織りにキラキラなビーズを付けって美しいアクセサリーになります。模様は「HELY」(読み:ヘル、意味:宝石)と言います。シンプルとモダンンなパターンデザインです。
場所:クワランカ・カフェ
日程:8月29日(土曜日)
時間:11:30~13:30
作品:ピルタナウハ織リボン
レベル:初心者
参加費:4500円(織機レンタル代付き/飲み物付き) 
定員:6名 
申込方法:「8月29日HELY」のタイトルでtakku@takku.orgに 
①お名前(読み方もお願い致します) 
②ご連絡先(電話番号か携帯メールアドレス) 
③お持ち込み道具(織り機)有り/無し/購入 
*好きな色: 黒/白/赤/青
*織機(7800円)は持ち込み、またお申し込みの際に購入する場合に参加費が400円安くなります。

ムードアップ@ クワランカ・カフェ、 吉祥寺!(2)
kukat kukkii! 花,花,花 です!サミブレスレットの新モデル はビーズで花の形に付けました!他のモデルのブレスレットと一緒に使うと、とっても良いコンビネーションです。三つ編み織り名前は「KUKKA」(読み:クッカ、意味:花)と言います
場所:クワランカ・カフェ
日程:8月29日(土曜日)
時間:15:00~17:00
作品:トナカイの革のブレースレット
レベル:初心者
参加費:5800円(飲み物付き) 
定員:6名 
申込方法:「8月29日KUKKA」のタイトルでtakku@takku.orgに 
①お名前(読み方もお願い致します) 
②ご連絡先(電話番号か携帯メールアドレス) 
*好きな色: 茶色/ 黒/赤/青/アイボリー




今月の定例ワークショップのお知らせです。

なかむらみえこレース編み教室

先月の先生&生徒展も大好評でした。
初心者の方も楽しくレッスンしていただいております。
皆様の参加をお待ちしています♪

なかむらみえこレース編み教室
8月26日(水)
15時~/17時~
8月27日(木)
13時~/15時~
¥3,000 (材料費+お茶とケーキ付き)
※初回以降は材料費抜きの¥2,000 。

お申し込み方法/メールまたは電話にて
info@qwalunca.com
0422-24-6455


2015年8月12日水曜日

日替りカフェをやりたい方を募集します。

営業時間変更に伴い、クワランカ・カフェを共有スペースとして日替りカフェをやりたい方を募集します。

 クワランカ・カフェは渋谷の屋上カフェとしてスタートしてから早くも15年の歳月を迎えました。当ブログにも書いてある通り、カフェ準備期間中の楽しさと大変さは実際にオープンしてからも様々な形で繰り返しやってきましたが、お客様、スタッフ、家族のおかげでこんなにも長い間走り続けることができたのだと思います。当時1歳だった娘も高校生となり、スタッフの多くもいまではお父さん、お母さんになっています。短い産休をいただいて生まれた長男も9歳、いつも見守ってくれた両親も後期高齢者になりジャズやミステリーを愛する父も、クラブクアトロ30周年の時、吾妻光良&ザ・スウィンギン・バッパーズを一緒に観たのが最後に、今ではライブハウス通いも止めてしまいました。
 カフェの仕事が大好きで、つらいことがあってもお客様の笑顔から元気をもらいながら忙しく日々をおくり、家族と過す時間も大切にしてきましたが、一旦ペースを緩めて、慌ただしく流れていく毎日の中で忘れてしまいそうになっていた「日常を忘れてゆっくりできる場所をつくる」というクワランカを始めた頃の気持ちを取り戻すことが、とても大切なことだと考えました。
 そこで、現在の23時までの営業時間を、今後は18時までに変更する予定です。それに伴い、夜の営業と週2日程度の終日の中で、日替りカフェ、食堂などをやってみたい方を募集します。料金等の詳細は電話、メール、店頭にてお問い合わせいただきたいのですが、クワランカの基本理念に共感してくれる方のみの募集となります。

◯ ゆっくりできる場所。1人で来店するお客様も居心地の良い場所。
◯ オリジナルのフード、デザート、ドリンクの提供。
◯ クワランカギャラリー運営についての理解と協力。

その他の特記事項
◯ 隣店がタイ古式マッサージ店のため、過度に騒がしい音楽や、喧騒は避ける。
◯ ブログ、フェイスブック、ツイッター、インスタグラム等SNSでの告知が可能な方。
◯ 18時以降24時までと定休日または土日のどちらかの終日(時間は応相談)を含む時間帯の中で継続的に日替りカフェをできる方。
例/
毎週木曜日と日曜日オープンの玄米食堂
隔週火曜日オープンの夜カフェ など。
美味しい食事やデザートでほっとできるお店をやりたいという方は是非ふるってお問い合せください。(飲食店以外のお店でアイデアのある場合もご連絡ください!)
 また、今月28日(金)19 : 30より、中野カルマ(現在はカルマときどきとして営業)のオーナー丸山伊太郎さんにクワランカでの日替りカフェについての説明会を兼ねて、日替りオーナーのカフェについてのお話を詳しくお話ししていただく会を開催します。

「丸山伊太郎に訊くvol.2 日替りオーナーカフェの可能性について」

2013年3月に開催した「丸山伊太郎に訊く」では、カフェのはじめかたと続けかたをレクチャーしていただきました。その時の参加者の中には、すで繁盛店として知られるお店のオーナーもいます。第2回目の今回のテーマは「日替りオーナーカフェの可能性について」
 最近では、通常店舗の空き時間に、カレー屋さん、焼き菓子店、カフェなどをするお店が増えてきましたが、実店舗を持たずに活動することや皆で同じ場所を使うことなどで生まれる可能性について、日替りカフェの運営に10年以上携わる丸山さんに詳しくお話しをしていただきます。また、当日はクワランカ・カフェの日替りオーナー募集についての質問も受け付けます。本業と両立してお店をやりたい、将来カフェをやりたいなどの理由から、日替りカフェに興味のある方のご参加をお待ちしています。

丸山伊太郎プロフィール/
「無国籍料理カルマ」を30年以上続けながら(現在はカルマときどきとして同列の各店舗で営業)、日替わりオーナーカフェ「ウナ・カメラ・リーベラ」「阿佐ヶ谷イネル」「エカイエ」、鳥取のギャラリー「うわの空」を運営する。「カルマ」は、高山なおみさんや枝元なほみさんなど、今をときめく人気料理研究家が働いていたことでも有名。自身も「アイデアどんぶり料理 スパイス & ハーブで手軽においしく」を出版するなど多方面で活躍中。

日時/8月28日(金)19 : 30より2時間程度
料金/ チャージ¥500+オーダー
予約/info@qwalunca.com
TEL. 0422-24-6455




2015年8月8日土曜日

カフェほど素敵な商売はない(10)

 吉祥寺に移転した現在でもお客様からの質問で一番多いのが「クワランカってどういう意味ですか?」そこで今回は店名の由来とこだわりについて、また後半にはオープン当時からの人気メニュー「豚の角煮のせ高菜ごはん」のレシピを公開いたします。ご家庭でも簡単に作れますので、角煮がお好きな方はぜひチャレンジしてみてくださいね。
 店名をつけるに当たって、他にはない名前にしたいと3日3晩悩みに悩んで考えたのが、敬愛する向田邦子さんのエッセイのタイトル「くらわんかの皿」から、らわ⇄ワラという部分をもじって異国風の言葉の響きを持つ「クワランカ」という言葉です。同名の店もなく、検索すると一番に出てきますが、そこまで狙ってつけたわけではなく偶然そうなっただけのこと。確かに便利ではありますね。ミュージシャンの猫沢エミさんからは「宮澤賢治の本に出てきそう。クワランカ、クワランカ…」とのコメントをいただいたのも嬉しかったな。渋谷店では向田さんの本も多数取り揃えており、中国茶を仕入れていた英記茶荘の親会社リプトンの社長さんが来店した際に読んで気に入って、帰りに書店で購入してくださったことも後日伺いました。英記茶荘といえば、忘れられないエピソードがあります。
 美味しい中国茶を手ごろな価格で提供したいと、都内のいろいろな中国茶専門店を巡りましたが、ヴィンテージや等級のある中国茶はなかなかのお値段。渋谷のお隣、神泉駅前にあった英記茶荘を訪れた日はあいにくの定休日。諦めきれず店内を覗いていたら、中からすごい美人スタッフさんが出てきてくれました。近々渋谷センター街でカフェをオープンするので、中国茶の仕入先を探している旨をお話すると店内に招き入れてくださり、なんと数時間にわたって様々な中国茶の試飲と淹れ方の手ほどきをしてくださったのです!
 彼女は当時店長だった大清水さん。その後もお茶の事を教えてもらいながら、映画鑑賞の帰りなどに来店してくれるお客さまとしてお付き合いが続きます。向田ファンとなった社長氏も大清水さんのお供で来店してくれたんだっけ。
 大清水さんの誠意ある接客をいまでもふと思い出します。自分もいつかそういう店員さんになりたい!素直にそんな気持ちにさせられた出来事でした。
 さて、とりとめのない文章にお付き合いいただいている皆様に感謝の気持ちを込めて、オープン当時からの人気商品「豚の角煮のせ高菜ごはん」の作り方をご紹介いたします。専門店では八角などの調味料を沢山使っているのですが、当店の角煮はとてもシンプルな作り方なので、お家でも簡単にできますよ。

豚の角煮
材料(5人分)
豚バラ肉  300g
豚肩ロース肉  450g
生姜  90g
三温糖  60g
料理酒  90cc
醤油  90cc
水  90cc
(1)豚バラ肉と豚肩ロース肉を一口大にカットする。
(2)生姜を千切りにする。
(3)生姜、肉、調味料の順に圧力鍋に入れて強火で煮る。
(4)アクを取り除き、蓋をして弱火で23分圧力をかける。
(5)火を止めて30分ほどしたら蓋を開け、上部に浮き上がっている油をすくい取る。

高菜漬け炒め
材料(5人分)
青高菜の漬物  1/2束
ごま油大さじ  1/2
料理酒大さじ  1/2
醤油大さじ  1/3強
(1)高菜漬けを、葉は千切りに、茎はみじん切りにカットする。
(2)カットした高菜漬けを硬く絞って水分を取る。
(3)熱したフライパンにゴマ油を入れ、高菜漬けを炒めながら料理酒、醤油を回しかけ、さらに3分ほど炒める。
 ほかほかごはんに高菜漬け炒めを敷いた上に、角煮と生姜をのせて黒ゴマをパラリと振っていただきます。大根の煮物と角煮に和辛子を付けてお酒のつまみにも◎ 女性のお客様で脂っこいものが苦手な方も、ここのは美味しいと言ってリピート注文してくださることが多い角煮ごはんです。是非お試しください。
 つづく


2015年8月7日金曜日

カフェほど素敵な商売はない(9)

 前回は、物件獲得と基礎工事について書きましたが、今回は「どんな店をやりたいか?」という基本のコンセプト作りについて。内装やメニューについては自分が好きな場所やフードを書き出すことから始めました。親方と一緒にカフェに限らず様々なショップを見に行って、フローリングの木材やドア、窓の好みを直接知ってもらうことにしたり、調理担当の相方とは作りたいものと作れるのものをリストアップして試作して仲間と試食会をしたり。素人ゆえの無茶もあり(料理器具を置くスペースも無いのに、本格派のガレットをやりたいとか)なかなかプランがまとまらない時、仕事でお世話になっていた音楽レーベルSublime Recordsの山崎さんからいただいたアドバイスがとても参考になりました。
 山崎さん曰く「カフェでも音楽でも“どんなお客さんに来てもたいたいか/どんな人に聴いてもらいたいか”を想像して、その人達が喜んでくれるものを提供するようにしたらいいよ。」 ケン・イシイ、DJ WADA、レイ・ハラカミ、サワサキヨシヒロなど超人気アーティストを擁するレーベルオーナーでもあり、ご自身も人気DJ としてフロアのお客さんを盛りあげる山崎さんの言葉はとても心に響いたのです。
 まだ未知の「私のカフェのお客さん」を想像してみると、こんな方たちが浮かびます。
・騒がしい場所は嫌い
・読書好き
・音楽好き
・アート好き
・映画好き
・好奇心旺盛
・流行りのフードより、ほっとできる食べ物やお茶が好き
・ちょっぴり変わり者、。エトセトラ、エトセトラ…。
 そう、この人達が喜びそうな音楽や空間、メニュー作りをしよう! こうやって一歩一歩とクワランカ・カフェが現実化していきます。
 つづく

2015年8月5日水曜日

新メニューができました!

らっきょうマニアが考えた
クワランカ・カフェのカレー茶漬け
サラダ付き ¥950 
 
 2015年夏のクワランカ・カフェでのらっきょう漬けワークショップにて、猛暑を乗り切るらっきょうレシピのアイディアを出し合った際に生まれた「カレー茶漬け」がいよいよメニューに登場します。
 今年は記録的な猛暑とか。そこで、「最近疲れがとれないな~」と思った時の食事におすすめなのが、豚肉とらっきょう。ビタミンB1が不足すると夏バテや疲れやすくなります。ビタミンB1が豊富な身近な食材の一つが豚肉。らっきょうにはアリシン(硫化アリル)という成分が多く含まれており、硫化アリルはビタミンB1の吸収を通常の7倍も高めて助ける役割があります。豚肉のキーマカレーにらっきょうを添えて、そこに酸っぱくてスパイシーなトマトベースのラッサムをお茶漬けのようにかけることで、食欲がなくても、サラサラと食べることができます。さらに、しょうがやスパイスをたっぷり使っているため、クーラーで冷えきった身体を温めて免疫力もアップしますよ。
 食欲のない時のランチに。夜はビールのお供にも。新登場の「カレー茶漬け」味噌と梅干しの隠し味もいい仕事をしています。本格派の新カレーをぜひご賞味ください。


2015年8月1日土曜日

カフェほど素敵な商売はない(8)

毎日暑い日が続いていますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか? 会社の休みを利用して海外旅行などに行くも良し、半休を繰り返して近場でゆっくりするのもまた良し。近場でゆっくり、と当店をご利用していただいている皆さんありがとうございます。その気持ち、とてもわかります(笑)。私も会社員時代、海外脱出しない時はライブ、映画、カフェ、美術館とちびりちびち休暇を使ってました。長期休暇がとれない今は、仕事のあとは、ほぼ毎晩息子と近所の体育館プール&バトミントンへ。おかげで肩こり、頭痛がグーンとラクになり、一挙両得な気分♪ それぞれの夏をエンジョイしましょう。
 本日(8月1日)午後よりクワランカでは、夏を代表する行事である夏「盆踊り」企画もありますよ〜。浴衣に着替えて盆踊りのめぐちゃんと繰り出す月窓寺、なんとなく出会いの予感もあり。女子率高めですので、浴衣男子の参加をお待ちしてます!

 さて本タイトルの「カフェほど素敵な商売はない」に入りましょう。渋谷駅近くのテナントビル屋上にある掘立小屋を借りれる運びになったもの、そこは物置となっている木造家屋(廃墟)。さて、どこから手をつけたものかと私と大工は考えました。ちなみにこの大工、普段は大手テナントの内装をしていてオーダーメイドの施工はほとんど初めて。知人のバンド(渋谷系内下北系アシッドジャズバンドとして活躍/若杉 実著「渋谷系」より)仲間として紹介してもらいました。コラムとはまったく関係ないですが、閑話休題、興味のある方はライブ映像をご覧あれ。


彼に内装をお願いした、その経緯とは。子持ちコンビの私たちではフルタイム勤務できないので、と夜の部の営業を任せたいと画策して相談をもちかけた上記の知人ですが、結局計画は頓挫。なぜか意気投合して、ひとりの大工&オープニングスタッフを交えた我々女性チーム4人のみで内装をすることとあいなりました。これもまた不思議なご縁だったと思います。人生のターニングポイントでは、時として必要な人物と出会うことがあるのかもしれませんね。
 ちなみに大工には〝親方〟という愛称を命名。現在では、西荻百貨店内に工房を持ち、自宅や店舗内装も手がけています。
 まずは飲食店として必要な設備をそろえなくては始まらないのですが、屋上には電気だけしかきておらず、ガス、水道を設置するところから始まります。基礎工事に関してはプロに任せるしかなく、下水道の工事はテナントビの出入り業者に依頼しました。この辺少し長くなるのですが、これからカフェ開業を考えている人の参考になるかもしれないので、手痛い失敗談を書きますね。
 施工依頼した会社(このあとA 社と記載)にはおよその見積もりを出してもらいましたが、屋上という異例のこともあり、多少の金額の違いがあるという説明を受けていました。限られた予算のなかでの工事、ひやひやしながら見守るしかなかったのですが、現場担当者の若い男性がかなりアバウトかつ横暴で、立会い工事には現れないは、業者との連絡を欠くは、かってに必要のないオプションをつけようとするはで、その都度施工料金がが上がっていくので、とてもじゃないけど黙って見てはいられません。幸い現場に入ってくださった水道屋のおじさんがいい人たちで、私の相談に気さくにのってくれ「これはいらないんじゃないの」とかのアドバイスをいただきながら、直接連絡を取り合いながら現場監督らしきことを自分たちでしての作業となりました。
 ガスはプロパン会社を調べて発注。代々木上原にある職人気質のオヤジさんが営む東邦プロパンさんに設置依頼。1階から5階まで長〜いガス管をつけてもらいました。問題はA社ですが、結果を書きますと、カフェ開業後、すっかり見違えるようになった屋上カフェに担当者氏と社長を呼びつけ、見積もり内にある立会い料やオプション代金などに対しての説明を要求。もちろん事前に内容証明まではいかないが、しっかりとしたクレーム文書を送っておき、直談判。社長はきちんとした人で、自社の不手際を認め謝罪してくれました。立会い料などはカットして数十万ほど値引きした金額で折り合いをつけました。説明された理由が噴飯もので忘れることができません。ビルのオーナーから「ど素人がこんなボロいところでなんかやるって言うけど、長続きしないだろうから、適当に対応してくれ」みたいなことを聞かされていたそうです。それでつい新入りに任せっぱなしだったとか。普段はこのようなことは無いとのこと。私が「御社ではいつもこのような工事をなさるのですか?」と問いかけての返答にはつい苦笑してしまいました。
 汗をかきかき頭をさげる社長と、テラス席にたまたまマネージャーを伴って来店していた某有名ミュージシャン。桜、苔玉でいっぱいのできたばかりのテラス席。なんとなく舞台に上がった俳優さんのような気分で、トラブルに終止符を打つことができました。誠実に対応してくれた社長さん、あの時たまたま来ていたミュージシャン氏にも感謝! の出来事です。もし時間と手間を惜しまないならば設備会社に丸投げせずに、ガス、水道屋さんと直接やりとりをする方が、限られた予算を有効活用できる場合もあります。くれぐれも下調べは念入りに。経験から得た教訓です。
 つづく