2015年8月8日土曜日

カフェほど素敵な商売はない(10)

 吉祥寺に移転した現在でもお客様からの質問で一番多いのが「クワランカってどういう意味ですか?」そこで今回は店名の由来とこだわりについて、また後半にはオープン当時からの人気メニュー「豚の角煮のせ高菜ごはん」のレシピを公開いたします。ご家庭でも簡単に作れますので、角煮がお好きな方はぜひチャレンジしてみてくださいね。
 店名をつけるに当たって、他にはない名前にしたいと3日3晩悩みに悩んで考えたのが、敬愛する向田邦子さんのエッセイのタイトル「くらわんかの皿」から、らわ⇄ワラという部分をもじって異国風の言葉の響きを持つ「クワランカ」という言葉です。同名の店もなく、検索すると一番に出てきますが、そこまで狙ってつけたわけではなく偶然そうなっただけのこと。確かに便利ではありますね。ミュージシャンの猫沢エミさんからは「宮澤賢治の本に出てきそう。クワランカ、クワランカ…」とのコメントをいただいたのも嬉しかったな。渋谷店では向田さんの本も多数取り揃えており、中国茶を仕入れていた英記茶荘の親会社リプトンの社長さんが来店した際に読んで気に入って、帰りに書店で購入してくださったことも後日伺いました。英記茶荘といえば、忘れられないエピソードがあります。
 美味しい中国茶を手ごろな価格で提供したいと、都内のいろいろな中国茶専門店を巡りましたが、ヴィンテージや等級のある中国茶はなかなかのお値段。渋谷のお隣、神泉駅前にあった英記茶荘を訪れた日はあいにくの定休日。諦めきれず店内を覗いていたら、中からすごい美人スタッフさんが出てきてくれました。近々渋谷センター街でカフェをオープンするので、中国茶の仕入先を探している旨をお話すると店内に招き入れてくださり、なんと数時間にわたって様々な中国茶の試飲と淹れ方の手ほどきをしてくださったのです!
 彼女は当時店長だった大清水さん。その後もお茶の事を教えてもらいながら、映画鑑賞の帰りなどに来店してくれるお客さまとしてお付き合いが続きます。向田ファンとなった社長氏も大清水さんのお供で来店してくれたんだっけ。
 大清水さんの誠意ある接客をいまでもふと思い出します。自分もいつかそういう店員さんになりたい!素直にそんな気持ちにさせられた出来事でした。
 さて、とりとめのない文章にお付き合いいただいている皆様に感謝の気持ちを込めて、オープン当時からの人気商品「豚の角煮のせ高菜ごはん」の作り方をご紹介いたします。専門店では八角などの調味料を沢山使っているのですが、当店の角煮はとてもシンプルな作り方なので、お家でも簡単にできますよ。

豚の角煮
材料(5人分)
豚バラ肉  300g
豚肩ロース肉  450g
生姜  90g
三温糖  60g
料理酒  90cc
醤油  90cc
水  90cc
(1)豚バラ肉と豚肩ロース肉を一口大にカットする。
(2)生姜を千切りにする。
(3)生姜、肉、調味料の順に圧力鍋に入れて強火で煮る。
(4)アクを取り除き、蓋をして弱火で23分圧力をかける。
(5)火を止めて30分ほどしたら蓋を開け、上部に浮き上がっている油をすくい取る。

高菜漬け炒め
材料(5人分)
青高菜の漬物  1/2束
ごま油大さじ  1/2
料理酒大さじ  1/2
醤油大さじ  1/3強
(1)高菜漬けを、葉は千切りに、茎はみじん切りにカットする。
(2)カットした高菜漬けを硬く絞って水分を取る。
(3)熱したフライパンにゴマ油を入れ、高菜漬けを炒めながら料理酒、醤油を回しかけ、さらに3分ほど炒める。
 ほかほかごはんに高菜漬け炒めを敷いた上に、角煮と生姜をのせて黒ゴマをパラリと振っていただきます。大根の煮物と角煮に和辛子を付けてお酒のつまみにも◎ 女性のお客様で脂っこいものが苦手な方も、ここのは美味しいと言ってリピート注文してくださることが多い角煮ごはんです。是非お試しください。
 つづく


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